小津映画音楽朗読コンサート終了

6/23(土)、小津映画音楽朗読コンサートのイベントが無事終了しました。当日は生憎の悪天候にも関わらず、沢山の方にご来場いただきました。お忙しい中、お越しくださった皆様へは心より感謝申し上げます。


今回はこれまでと趣向を変えて、各作品毎に解説~小津監督が愛した音楽~小津脚本の朗読~小津映画音楽という流れでイベント構成を考えました。小津脚本の朗読を採り入れることは初めての試みで、このパートがイベントの成否にとって重要なカギでした。

小津脚本の朗読というと、中井貴惠さんが行っている「小津安二郎音語り」が有名ですが、中井さんの音語りとは一線を画すために、朗読と生演奏のバランスを半々から多少生演奏の方にウエイトを置きました。

また、朗読を元NHKアナウンサー中村昇さんにお願いしましたが、以前中村さんが主催する時代小説読み語りの会へ参加した際に、中村さんの語りが小津脚本の朗読に大変相応しいという手応えを感じていました。小津映画音楽の生演奏と中村さんの語りは、絶妙な相乗効果を生み出すに違いないと期待感を持ちました。実は、中村さんは弟(潔)の奥方(めぐみさん)のお父上であり、身内でもあるので無理を承知の上でご協力いただいたのでした。


ところが、私が想定していた以上に素晴らしいコラボレーションだったようで、演奏していたメンバー達も口々に中村さんの朗読を絶賛していました。私も間近で聞いていましたが、中村さんが語り始めると会場の雰囲気が一変し、まるで小津映画のワンシーンを観ているような感覚に陥りました。

例えるならば、その昔聞いたラジオドラマのような語り口だったように思います。今でもラジオドラマというジャンルは存在しますが、終戦後テレビが普及するまでの間、娯楽といえば映画観賞とラジオドラマを聞くことが中心だった時代がありました。父高順もラジオドラマの音楽を書いており、当時松竹大船撮影所の音楽監督を務めていた吉澤博氏が父の作風は小津映画に合うと直感し、小津監督に推薦してくれたという経緯がありました。

そう考えると、元々中村さんのラジオドラマ風の語り口は、父が作曲した小津映画音楽との相性も良く、小津映画の持つ雰囲気を見事に再現したと言えるのではないでしょうか。このような試みは、中村さんにとっても初めてのことだったそうで、ご本人も大変良い経験になったと喜んでおられました。次回以降のイベントにも、是非朗読的な要素を採り入れてみたいと考えています。

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