Aug 10, 2016

小津監督とシャンソン

小津監督は、欧米の音楽に造詣が深く、フランスやスペイン、チェコ等の流行歌のレコード蒐集家でもありました。
シャンソンやマーチ、ポルカ等を好んだ小津監督は、斎藤高順にヨーロッパ風の音楽をリクエストし、具体的には「サ・セ・パリ」や「ヴァレンシア」、「ビア樽ポルカ」のような楽曲を希望しました。

また、小津監督は若い頃から宝塚歌劇団が大変お好きだったそうです。
小津組の宴会では、アコーディオン奏者の村上茂子さんを伴い、宝塚歌劇団の愛唱歌「モン・パリ」や「すみれの花咲く頃」等のアコーディオン演奏をさせていたとのことです。

舞台演出を手掛けてみたいと仰っていたほど、宝塚が好きだった小津監督は、歌劇団の団員とも交流があり、中でも寿美花代さんを贔屓にしていました。
「秋刀魚の味のポルカ」に歌詞を付けて、宝塚の寿美花代さんに歌わせてみたいと考えていた小津監督は、斎藤高順の音楽にシャンソン風テイストを感じていたのかも知れません。

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この度、斎藤高順がパリの日本人学校の校歌を作曲して以来、交流を続けてこられたパリ在住のピアニスト伊藤隆之さんのご尽力により、「秋刀魚の味のポルカ」にフランス語の歌詞が付きました。
伊藤隆之さんと親交の厚い、シャンソン歌手兼俳優のフレデリック・ロンボアさんに、小津監督が「秋刀魚の味のポルカ」に歌詞を付けたかったというお話をしたところ、大変興味を示されたそうです。

ロンボアさんが、特に惹かれたのが「秋刀魚の味のポルカ」の曲調だったそうで、歌詞を付ける以前にこの音楽はシャンソンそのものではないか、と感じたとのことです。
そして、ロンボアさんの歌詞と歌声の入った「秋刀魚の味のポルカ」は、紛れもなく本場のシャンソンを聴いているようです。
60年前、「秋刀魚の味のポルカ」に歌詞を付けようと考えた小津監督には、すでにシャンソンのメロディが聴こえていたのかも知れません。

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