サイトウ・メモリアルアンサンブルとナガサキの郵便配達

私たちは小津安二郎監督の映画音楽を担当した作曲家斎藤高順の遺族を中心に「サイトウ・メモリアルアンサンブル」を結成し、主に小津映画音楽のトーク&ライブイベントを開催しています。斎藤高順は小津監督の代表作『東京物語』から監督の遺作となった『秋刀魚の味』まで、7作品の小津映画音楽を手掛けました。
2015年の暮れに初めて小津映画音楽のイベントを開催したのが、齋藤芳弘さんがオーナーを務める「エスパス・ビブリオ」でした。その後、毎年のように「エスパス・ビブリオ」でライブイベントを開催してきました。
小津監督は陸軍軍曹として中国戦線へ従軍しましたが、公に反戦や非核等への発言はありませんでした。しかし、作品の中では控えめながら戦争の悲惨さや愚かさを描き続けた監督とも言えるでしょう。当時の日本映画界は戦前戦中は内務省、戦後はGHQによる検閲が行われ、表現の自由が許されない時代でしたが、そんな中『東京物語』では敗戦当時およそ56万人いたという戦争未亡人の悲哀を原節子が演じ、『早春』では復員兵に対して「あんなのが兵隊だから日本は負けたのよ」という淡島千景のセリフがあったり、『秋刀魚の味』では「軍艦マーチ」が流れ、笠智衆に「戦争に負けて良かったじゃないか」とまで言わせていました。これらの演出が小津監督の本心であったか否かは知る由もありませんが、監督は誰よりも敗戦後の日本の行く末を案じていたのではないでしょうか。
昨今、国内外ともに政情不安定な状況が続く中、このように意義深いイベントへ参加できることを大変光栄に感じております。
《サイトウ・メモリアルアンサンブル主宰 斎藤民夫》

【朗読】
阿川佐和子
中江有里
長谷川真弓
松田洋治

【演奏】
クラシックギター 佐藤洋平
サイトウ・メモリアルアンサンブル
 ヴァイオリン 本庒篤子
 ヴァイオリン 内藤景子
 ヴァイオリン 藤野 桂
 ヴィオラ 斎藤美枝
 チェロ 斎藤章一
 コントラバス 中村文音
 ピアノ 増井 咲

小津映画×斎藤高順メモリアルコンサート

指揮:井田勝大
演奏:斎藤高順メモリアルオーケストラ(斎藤ファミリー+サイトウ・メモリアルアンサンブル他)
ゲスト:川井郁子、竹内郁子、フォレスタ(横山慎吾、塩入功司、吉田和夏、小笠原優子)
アレンジ:横山和也、斎藤順、増井咲

『一人息子』より「オールド・ブラック・ジョー」


『秋日和』より「主題曲・ポルカ」


「花売り娘」(小津が愛した世界の音楽)


小津が愛した世界の音楽メドレー(埴生の宿、巴里の屋根の下、夕の鐘、アニー・ローリー、すみれの花咲く頃)


「チャルダッシュ」(川井郁子コーナー)


『東京物語』より「主題曲・夜想曲」


『早春』より「主題曲」


『早春』『東京暮色』『彼岸花』より「サセレシア」、『彼岸花』より「主題曲」


小津が生きた時代の昭和歌謡メドレー(リンゴの唄、愛染かつら、青い山脈、君の名は、東京キッド)


『浮草』より「主題曲・ポルカ」


『秋刀魚の味』より「主題曲・ポルカ・終曲」


アンコール「幸せを売る男」(小津が愛した世界の音楽)