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斎藤高順と北九州との絆
1977年(昭和52年)10月8日、広島郵便貯金会館で開催された「全国警察音楽隊演奏会」から、斎藤高順作曲「バンドのためのメルヘン“マッチ売りの少女”」の貴重な音源です。
指揮は斎藤高順、警視庁音楽隊の演奏です。
父高順が初めて北九州を訪れたのは1980年(昭和55年)の夏でした。
福岡で吹奏楽団を主宰する野田公児さんからお手紙をいただき、野田さんの指揮で中学校のOBバンドによる斎藤作品特集の演奏会を開催するから、是非お越しくださいというご案内でした。
しかも、自作を指揮してくださいとの要望まであり、父は予定していた埼玉県の吹奏楽コンクール審査員をキャンセルして、都合3泊の滞在で福岡を訪問することにしました。
当時大学生だった野田さんは、父を小倉駅の改札へ迎えに行ったところ、方々よりお偉方(福岡県警音楽隊尾木恒夫隊長や南西航空音楽隊から印南智之三等空佐)などが改札口まで出迎えに来られていて大変驚いたそうです。
父は警視庁音楽隊長の公務の一環として、福岡出張に訪れたという建前だったのかも知れません。
(国の重要文化財に指定された若戸大橋を臨む見事な景観)
野田さんの2年後輩に当たる中西哲郎さんは、1983年(昭和58年)から母校である福岡県立八幡高等学校吹奏楽部の外部指導者として指揮者を始めました。
早速吹奏楽コンクールの準備に取り掛かった中西さんは、自由曲を選定するに当たり野田さんがライブラリーに保管していた斎藤高順作曲による交響詩「空」のスコアに目を通し、メロディーの美しさ、場面ごとの変奏に感動して、同曲を演奏することに決めたそうです。
中西さんも野田さん同様、斎藤作品との関係性がとても深い方でした。
1971年(昭和46年)、北九州市若松区にあった北九州市立響南中学校吹奏楽部は、「輝く銀嶺」を演奏し西部(九州)大会で優勝、さらに大阪フェスティバルホールでの全日本吹奏楽コンクールで2年連続金賞に輝きました。
後に響南中学校へ進学する中西さんは、先輩たちの見事な演奏に魅了されると同時に「輝く銀嶺」という作品に興味を覚え、高校生の時はトランペット奏者として「ブルー・インパルス」を、大学生の時には「オーバー・ザ・ギャラクシー」を演奏しました。
そんな中西さんの指揮、福岡県立八幡高校吹奏楽部の演奏による音源が遺っていました。
カセットテープからの復元で交響詩「空」、1983年(昭和58年)7月31日録音、会場は(旧)戸畑市民会館です。
1984年(昭和59年)8月19日、父は八幡労働会館で開催された「邦人作曲家5人によるオリジナルコンサート」に出演するため、母と妹景子を伴って再び福岡の地へとやってきました。
この時は、父の指揮で「バンドのためのメルヘン“マッチ売りの少女”」と「フライング・エキスプレス」が演奏され、中西さんはトランペット奏者として参加、その後は福岡県立八幡高校吹奏楽部で「マーチング・エスカルゴ」の指揮も行いました。
一方野田さんは、1985年(昭和60年)8月3日、4日に行われた「第1回福岡県吹奏楽コンクール」(第30回九州吹奏楽コンクール予選)、会場は福岡サンパレスに於いて、北九州交響吹奏楽団の演奏で交響詩「空」を指揮され、見事銀賞を受賞されました。
さらに、中西さんは1999年(平成11年)7月11日開催「第15回福岡県吹奏楽コンクール」(戸畑市民会館)で、北九州フィルハーモニック吹奏楽団の演奏で斎藤高順作曲による交響詩「自然への回帰」を指揮されました。
私が野田さんと中西さんに初めてお会いしたのは、確か1984年(昭和59年)のことだったと記憶しています。
実に40年の時を経て、所縁ある北九州の地でお二人と再会できるとは夢にも思いませんでした。
今年は父高順にとって生誕100周年(没後20年)に当たり、小倉東高等学校吹奏楽部が「輝く銀嶺」と「マッチ売りの少女」、北九州フィルハーモニック吹奏楽団が「自然への回帰」と「ブルー・インパルス」を演奏し、どちらも中西さんが指揮を務めました。
私は、北九州フィルハーモニック吹奏楽団の演奏会を鑑賞するため初めて北九州を訪問し、コンサート翌日は野田さんに北九州市内を色々とご案内していただきました。
小倉城や門司港を観光、豚骨ラーメン、焼きカレーなどもご馳走していただき、とても有意義な時間を過ごすことができました。
次は東京で、斎藤家主催による斎藤高順生誕100周年記念パーティー(2024年12月8日)にてお目にかかれることを心より楽しみにしております。
左の写真は40年前、後列左から筆者、斎藤高順、中西さん、前列左景子(妹)、野田さん(斎藤家にて)
右の写真は今年4月、北九州フィルハーモニック吹奏楽団の美女の皆さんと筆者、中西さん(コンサート打ち上げ)