飯田一雄先生からのお便り

小津映画音楽のピアノ作品集「Tokyo Story」が発売され、何人かの方へCDをお送りさせていただいたところ、早速飯田一雄先生からお礼のお便りが届きました。

飯田先生は浅草の劇団にんげん座の主宰者で、2015年の秋に私が初めて小津映画音楽のイベントを開催した時にお越しくださり、それ以来お世話になっている方です。翌2016年の秋には、にんげん座公演「廻れ走馬灯」の第一部にサイトウ・メモリアルアンサンブルのミニコンサートを行わせていただき、劇中音楽及び芝居にもほんの少しですが出演することができました。

飯田先生のお便りを以下にご紹介させていただきます。

荷をあけてすぐ拝聴。
心のなかに栄養を補給した気分です
説明冊子の「実現した小津…」名文です
民夫さんの父に対する暖かな尊敬がじんとしました
民夫さんは凄い仕事をしていると思います

今年のにんげん座公演「あたしのへーさん」では、劇中音楽とタイトルバック、オープニングと芝居の一部に裏方として携わりました。飯田先生のように小津映画音楽がお好きで、大変評価してくださる方もいらっしゃいますが、世間一般の認知度が高いとは言えないのが実情です。しかし、今回のCD発売によって、小津映画音楽の魅力に気付いてくださる方が、一人でも多く現われることを願っております。

小津監督は日本の伝統芸能のみならず、欧米の流行歌などにも幅広く精通していました。サイレント、サウンド版を手掛け、トーキーへの移行は少し遅れたものの、音楽についてはほとんど言及することがなかった小津監督でしたが、「小津安二郎全発言」(泰流社刊)の中では珍しく音楽の使い方が良かった映画について私見を述べていました。やはり、映画音楽に関しても独自の哲学を持っていたことを窺い知ることができます。

小津監督は、音楽についても決して妥協するようなことはなかったのです。小津監督が認めた唯一の作曲家斎藤高順の音楽が、世界中の映画ファンを魅了し、その音色が心深く浸透する日が来ることを願って止みません。

Translate

category

ページ上部へ戻る
Translate »