斎藤高順 生誕100周年記念 吹奏楽作品集/交響詩「オンリー・ワン・アース(かけがえのない地球)」
12/8、ネクサス音楽出版よりリリース!日本吹奏楽史の金字塔♪
斎藤高順の人生は、常に昭和の歴史と共にありました。斎藤は関東大震災の翌年、大正13年(1924年)12月8日に東京深川で生まれましたが、実家のあった深川は震災で壊滅的な被害を被り、大正時代に隆盛を誇った家業の酒商は一転して経営危機に陥ったのです。
さらに昭和恐慌(昭和5年/1930年)、満州事変(昭和6年/1931年)、日中戦争(昭和12年/1937年)、そして太平洋戦争(昭和16年/1941年)と、日本中が重苦しい空気に包まれる中で少年時代を過ごしましたが、昭和20年(1945年)3月10日の東京大空襲で深川一帯は焦土と化し、二十歳の時には日本敗戦という決定的な出来事に直面しました。
昭和19年(1944年)、東京音楽学校(現東京芸大)在学のまま陸軍戸山学校へ軍楽生徒として入校し、その後陸軍戸山学校軍楽隊へ配属されますが、昭和20年(1945年)8月15日の終戦により復員、東京音楽学校へ復学しました。卒業後は、何もかもが失われた悲惨な状況下、明日をも知れぬフリーの作曲家として社会人生活をスタートしたのです。
しかし、敗戦という絶望的な状況の中、人々は決して落胆することなく前を向いて立ち上がりました。昭和26年(1951年)に民放ラジオが開局し、NHKのラジオ番組をはじめ、様々なラジオの音楽を作編曲する仕事が急速に増え、多くのラジオ局で作曲、指揮や演奏の仕事を掛け持ちするようになります。
そして昭和28年(1953年)の初夏、突然小津安二郎監督に抜擢されて、小津監督の代表作『東京物語』の映画音楽を任されるという幸運に恵まれました。小津作品の音楽は、監督の遺作となった『秋刀魚の味』までの7作品、その他に日活映画や学研の教育映画の音楽なども数多く作曲しました。
昭和28年(1953年)にテレビ放送が始まり、昭和35年(1960年)にはカラーテレビも登場して、斎藤はテレビドラマの音楽も手掛けるようになります。東京オリンピックが開催された昭和39年(1964年)頃は、学研の教育映画とテレビドラマの音楽を作編曲する仕事が中心でした。
戦時中に陸軍戸山学校軍楽隊で学んだ吹奏楽と、改めて向き合うようになったのは昭和42年(1967年)でした。元陸軍戸山学校軍楽隊長山口常光との再会、また東京音楽学校時代の友人らの勧めもあって、本格的に吹奏楽作品の作曲に取り組むようになりました。
日本復活の象徴とも言えるのが、昭和45年(1970年)に開催された大阪万博でした。斎藤は「みどり館」の音楽を担当し、この時に航空自衛隊音楽隊との出会いがあって、その後同じく軍楽隊出身者である山口常光(初代警視庁音楽隊長)と松本秀喜(初代航空自衛隊音楽隊長)の推薦もあり、民間人からは初となる航空自衛隊音楽隊長に就任します。
47歳(昭和47年/1972年)の時に航空自衛隊航空音楽隊長、51歳(昭和51年/1976年)の時には警視庁音楽隊長となり、14年ほど準公務員として音楽隊長の職務を全うし、61歳(昭和61年/1986年)で警視庁を辞職するまでに数多くの吹奏楽作品を遺しました。
暗黒の青少年時代を経て、敗戦という絶望から奇跡の復興、世界を驚かせた高度経済成長からバブル経済へと、斎藤高順の人生は昭和の歴史そのものであり、多くの困難を乗り越えながら、希望ある未来へと歩み続けた軌跡です。斎藤の作品からは、そんな昭和の空気感というものを、確かに感じ取ることができます。
日本の西洋音楽の先駆者であり、現在の音楽界の礎を築いた軍楽隊の歴史と伝統は、斎藤高順の音楽へと受け継がれました。軍楽隊が奏でる音楽は、決して戦意高揚を目的としたものでも、現地住民を支配したり蹂躙するための道具であったわけでもなく、隊員の多くは故郷の家族を思い、音楽を愛する普通の若者であったのではないでしょうか。「オンリー・ワン・アース(かけがえのない地球)」というタイトルには、世界平和への祈りが込められているように思います。
斎藤高順 生誕100周年記念 吹奏楽作品集
交響詩「オンリー・ワン・アース(かけがえのない地球)」
演奏:航空自衛隊航空中央音楽隊
指揮:芳賀大輔 3等空佐、原田悠生 2等空尉
日時:2024年6月13日、14日
会場:航空中央音楽隊 大ホール
1 行進曲「ブルー・インパルス」
2 交響詩「空」
3 行進曲「オーバー・ザ・ギャラクシー」
4 行進曲「ビューティフル・トウキョウ」
5 ウインドバンドのセレナーデ
6 クラリネットとバンドのための「バラード」
7 行進曲「ウエンズデート」
8 バンドのためのインテルメッツォ「夢現」
9 幻想風行進曲「マーチング・エスカルゴ」
10 バンドのためのメルヘン「マッチ売りの少女」
11 交響詩「オンリー・ワン・アース」(かけがえのない地球)
製作・発売元:株式会社ネクサス音楽出版
https://www.nexuss.net/
SAITO, Takanobu 100th Anniversary Concert Band Collection
[Symphonic Poem “Only One Earth”]
1. March “Blue Impulse”
2. Symphonic Poem “The Sky”
3. March “Over the Galaxy”
4. March “Beautiful Tokyo”
5. SERENADE for Windband
6. Ballad for Solo Clarinet and Concert Band
7. March “Wednesdate”
8. “MUGEN” -Dreamscape- Intermezzo for Concert Band
9. “Marching Escargot” an Illusion-like March
10.”The Little Match Girl” Marchen (Fairy Tale) for Concert Band
11.Symphonic Poem “Only One Earth”
指揮:副隊長 3等空佐 芳賀 大輔 1.2.4.7.8.10
演奏班長 2等空尉 原田 悠生 3.5.6.9.11
Conductor : Major : HAGA, Daisuke and First Lieutenant : HARADA, Yuki
演奏:航空自衛隊航空中央音楽隊
Performance : Japan Air Self Defense Force Central Band
日時:2024年6月13~14日
Date : June 13-14, 2024
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